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部長に何だかんだ言われながらも、お弁当を食べ終わった後は残っていた仕事を片付ける事に集中した。
そして時計の針が18時を指した瞬間に、私は席を立ち上がった。
「じゃあ私、お先に失礼します!」
まだ他の皆が当然のように仕事に取り組んでいる中、私は1人早足で会社を後にしてタケルさんの車へ急ぐ。
預かっていたキーを使って助手席に乗り込み、タケルさんが来るまでの間、夜間に診察をしている婦人科をスマホで検索。
多分タケルさんは早くても19時くらいに上がるだろうから……と考えながら検索していると。
運転席の扉が開くと同時に、タケルさんが姿を現した。
「え……」
「待たせてごめん」
と、一言発して、スマートにシートベルトを締めて車のエンジンをかける。
「……タケルさん、早くないですか?」
「19時過ぎに上がったら、ほとんどの病院間に合わないだろ」
確かに今検索していたら、夜間受診を受け付けている病院はそう多くない。
「あ……すみません、私実はまだ病院検索してなくて」
「それならもう俺が調べた」
……え。
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