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でも酒を飲まされたわけじゃないなら、この体調の悪さは……。
「……ごめん暁斗」
「え……」
「なかなか言うタイミングがなくて、ずっと言えなかったんだけど」
ごめん?
ずっと言えなかった?
何だよそのキーワード。
もう聞く前から、嫌な予感しかしないだろそれ。
まさか、実は病気を宣告されたとか……?
「実は……」
「ちょっ、待っ……!」
「妊娠してるの」
「……え?」
今のは幻聴なんかじゃ?…ないよな?
「今、何て?」
「だから、妊娠したの」
このときの俺の気持ちは、嬉しいの一言じゃとても片付けられない程のものだった。
タケルもきっと、伊咲ちゃんの妊娠がわかったとき、こんな気持ちだったんだろう。
あまりの嬉しさに言葉を失った俺は、何も言えずにただ彼女を力強く抱き締めた。
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