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「けどさぁ、タケルも酷いよな。伊咲ちゃんの妊娠、もっと早く教えてくれたって良かったのに」
勝手にキッチンに入り、自分で梅酒のお湯割りを作る。
この家には最近よく入り浸っているから、マドラーや食器がどこに置いてあるかも全て把握済みだ。
「お前に話したら一瞬で広まるだろ」
「ひっどいな……言うわけないじゃんそんな事」
まぁ、確かにもし早めに聞かされていたとしたら、黙っていられなくて社内の誰かにコッソリ教えていたとは思うけど。
「けどタケルが父親って。伊咲ちゃんなら良いママになるだろうけど、タケルがパパって全く想像出来ないわ」
「そうですか?タケルさんは絶対私より、過保護で素敵なパパになると思うんですけど……」
伊咲ちゃんはいつでもどこでも、タケルに夢中だ。
それこそ、出逢った頃からこの2人はきっと変わっていない。
いや、変わっていないどころか、出逢った頃よりも絶対ラブラブ度は増しているはず。
伊咲ちゃんと出会う前のタケルは、本当に女性には恐ろしい程冷たかった。
正確に言うと、女性だけじゃなく友人にも基本冷たいヤツだけど。
今は伊咲ちゃんと出会ってかなり柔らかくなった方だと思うけど、昔のタケルを知っているから余計にタケルが父親になるなんて少しも想像出来なかった。
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