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「ちょ、こんな所で何して……」
「別にいーじゃん。見せつけてやりたい気分なんだよ」
何故だろう。
他人の前でイチャイチャするカップルなんて、痛いとしか思っていなかったくせに。
今は、人前でイチャイチャする痛いカップルの気持ちがよくわかる。
「……バカじゃないの本当に」
なんて俺に言う彼女だって、きっと気持ちは俺と同じはずだ。
「バカで結構」
手を繋ぎ、バカみたいに笑い合いながらマンションの中へと戻る。
エレベーターを待っている間も、俺はバカップルモードが抜けずに甘ったれた事を口にした。
「結衣こそ、久し振りに俺の名前呼んだんじゃない?もう1回言ってよ暁斗って」
「……暁斗。私も、ちゃんと好きだからね」
バカだって言われると思ったのに。
こういう不意打ちの素直さは、本当に破壊力満点。
『好き』の2文字の威力は、計り知れない。
「でも、何でこんなバカ好きになっちゃったんだろ」
「その一言は余計だろ」
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