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「……は?」
「だーかーら。うちの奥さんも妊娠したんだって」
週明けの月曜日。
出社した俺が真っ先に向かった場所は、タケルがいる営業部。
「仙堂さんおはようございまーす」
「おはよー」
普通、他の部の社員が朝早くから営業部にいたらジロジロ見られるもんだけど、俺に対しては今更誰も何も思わない。
営業部の誰もが自然体な対応をしてくれる。
それはあまりにも俺が営業部に居座る事が多いからだろうけど。
「……お前さぁ、朝からわざわざ冗談言いにくんなよ。早く総務戻れ」
「何言ってんだよ、冗談なわけないじゃん」
早速タケルに結衣の妊娠の報告をすると、ハッと鼻で笑われてムカつく態度でかわされた。
……コイツ、結衣の妊娠が俺の嘘だと思ってんのか?
「冗談に決まってんだろ。ついこの間までケンカしてたヤツが」
「って思うだろ?でも本当なんだよね。俺なんて結衣に妊娠してるって言われたとき思わず嬉しくて泣いちゃってさぁ……」
詳しく彼女から話を聞くと、俺には黙って産婦人科に通院していたらしくて。
俺が妊娠を打ち明けられたときには、結衣は既に妊娠3ヶ月になっていた。
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