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「あのね、カケル。女の子にはちゃんと優しくしないと……」
「でもパパは、やさしくしなくていいっていったよ」
「え?」
「パパは、すきな人にしかやさしくしないんだって」
タケルさんに瓜二つの顔で、私を見上げながらパパの言葉を復唱する息子を見て思わず一瞬フリーズしてしまった。
タケルさんったら、私の知らないところで子供に何を教え込んでるんだろう。
「パパ、ママと僕にはやさしいもんね。ほかのひとには冷たいのに」
「そ、そんな事ないよ?タケルさんは、ちゃんと皆に優しい人なんだからね」
慌ててそう言うと、カケルは納得していないような顔をして「……ふーん」と一言呟いた。
子供だからって、侮れない。
親の姿を、ちゃんと見て覚えてるんだ。
「カケルは保育園で好きな子とかいないの?」
まだ3歳だから、好きな子なんていないだろうなと思っていたけど。
実際、保育園でカケルを好きだという子は何人もいるわけだし。
人を好きだと認識する気持ちに年齢なんて関係ないんだと思い知らされる。
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