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「いないよ。だってまわりの子、みんなこどもだもん」
「……カケルもお子ちゃまでしょ」
なんなの、この大人びた発言は……。
この子に、私に似ている部分はどこかあるんだろうか……。
何かもう、この子の全てがタケルさんに似過ぎている。
「じゃあカケルに好きな子が出来るのは、まだまだ先だね」
何となく、まだ好きな子がいない事実に勝手に1人でほっとしていると。
カケルは繋いでいた私の手を引っ張り、主張し始めた。
「僕、いるよすきな子」
「……ウソ、いるの?え、誰?ママの知ってる子?」
思いきり食い気味に問いつめると、カケルはコクリと頷いて、まさかの名前を口にした。
「ゆきちゃん」
「……雪ちゃんって、ママの友達の?」
「うん。きれいだし、いっつもいいにおいするからすき!」
そう言っていつもクールな表情のカケルがニコッと顔を崩して笑った。
「またゆきちゃん、こないかなぁ」
やっと発見した。
タケルさんに似ていなくて、私に似ている部分。
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