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「翔。今日の事聞かせてほしいんだけど、ちょっといいか」
するとカケルは、すぐにパッと立ち上がり、絵本を本棚に戻しに行ってからまたソファーにちょこんと座った。
「なに?パパ」
私が話しかけても絶対絵本から目を離さないくせに、タケルさんが怒ると怖い事を知っているからかカケルは素直に言う事を聞く。
以前、カケルが夕食を食べずにテレビに夢中になっていたから、タケルさんが注意した事があった。
最初はカケルも全くタケルさんの言う事なんか気にせずテレビに釘付けになっていたけど。
タケルさんが声を荒げる事なく冷静に叱りつけたら、カケルは「パパの目がこわい」と言って泣き出してしまった。
よっぽどあのときのタケルさんの睨みが恐怖なのか、あれ以来カケルは面白いくらいにパパの言う事は逆らわずに聞く。
「お前、ちゃんと謝ったのか?今日の事。ケンカした友達と、手握ってきて泣かせた子に」
タケルさんはカケルの隣に座り、優しい口調で聞いた。
「……」
「翔」
カケルは一瞬黙り込んだけれど、タケルさんの気迫に押されて渋々口を開いた。
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