520人が本棚に入れています
本棚に追加
「……あやまったよ」
「嘘つくな」
カケルの嘘をすぐに見破ったタケルさんの鋭い視線を受けて、カケルは次第に顔を歪め始めた。
「嘘つきは嫌いだって前に言ったよな?」
「……ごめんなさい」
瞳からポロポロと零れ落ちる涙を拭いながら、カケルは小さな小さな声で、タケルさんにごめんなさいと謝った。
「カケル……」
と、泣き出してしまったカケルに歩み寄ろうとした瞬間。
タケルさんが、いとも簡単に泣いているカケルをふわっと抱き上げた。
カケルはメソメソ泣きながら、タケルさんの体にぎゅっとしがみついた。
タケルさんはそんなカケルを愛しそうに見つめながら、頭を優しく撫でていた。
「翔。明日保育園行ったら、泣かせた子とケンカした子にちゃんと謝れ。お前だけが悪い事じゃないけど、お前にも悪いところはあっただろ?」
「……うん。ちゃんと、ごめんなさいって言う」
「よし、えらい。じゃあ、この間買った新しい絵本でも読むか」
「うん!パパがよんでくれるの?」
泣いていたはずのカケルの顔がぱっとキラキラした表情に変わる。
子供って本当に、無邪気で可愛い。
最初のコメントを投稿しよう!