番外編④precious days

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「そんなの……もちろん1番に決まってるじゃないですか」 私が得意気にそう言うと、次はタケルさんの膝の上で私達のやり取りを聞いていたカケルが、またしても口を挟んできた。 「ママ、それおかしいよ」 「え……何が?」 「いちばんは、ふたりいたらだめなんだよ。そういうの、ふたまたってゆうんだって」 覚えたての言葉なのか、少し噛みながらも、何とか『二股』という単語を口にしたカケル。 ……ていうかカケル、どこでそんな言葉覚えたの。 「二股って……大体カケル、その言葉の意味ちゃんとわかってないでしょ?」 「わかってるよ。こないだ、はやとのパパがおしえてくれたもん」 ……仙堂さん、何故その言葉をカケルに教え込んだんだろう。 「アイツ、やっぱりアホだな」 タケルさんは呆れたように笑いながらも、私にチラリと視線を送った後、カケルの意見に賛同し始めた。 「でも翔の言う通り、1番好きな人が2人もいるのはおかしいよな」 そう言うタケルさんだって、絶対に1番は私とカケルの2人のくせに……。
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