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「いいんだよ。ここからは、俺達2人の時間なんだから」
「……」
俺達2人の時間だなんて表現をされると、妙にドキドキしてしまうのは私だけでしょうか。
「絵麻」
「はいっ」
タケルさんはよく私の事を『お前』って言うけど、たまにこうやって名前で呼ぶときもある。
タケルさんの中で、『お前』と『絵麻』をどう使い分けているのかわからないけど、私はいまだにタケルさんに名前で呼ばれるとキュンとする。
勢いよく返事をして隣にいるタケルさんを見上げると、タケルさんはまた意地悪な笑みを微かに浮かべながら私を見ていた。
「なに緊張してんの?」
「べ、別にしてませんっ」
「ふーん。でも顔赤いけど?」
タケルさんはニヤニヤしながら、私の髪を指先で弄り出す。
何かタケルさんの仕草って、いちいち色っぽくて困る……。
しかも、その笑みは意地悪なくせに、私を見つめる視線はやたらと甘い。
「あ、あのっ。そういえば、さっきの話の続きですけど」
私は少しでも冷静さを取り戻したくて、その甘い視線から逃げるように話題を戻した。
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