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「せ、仙堂さんったら、困っちゃいますよね!カケルに変な事教えるから」
「あぁ、二股の事?」
「もう……きっと隼斗君、カケル以上にいろんな事教えられて知ってますよ」
なんて、話の中心を無理やり仙堂さんにしてみたけれど、タケルさんの指先は相変わらず私の髪を弄ったまま。
クルクルと、器用に私の毛先で遊んでいく。
「隼斗は間違いなく仙堂と同じ人生を送るだろうな。それより俺は、お前の発言の方が何倍も気になるんだけど」
「え……」
そう言われて、ここ数年で少しは勘が鋭くなった私は、何となくタケルさんが何の事を言っているのか察する事が出来た。
多分、さっきの事……だよね?
「あれは……ていうか、それを言うならタケルさんだって私と同じじゃないですか」
「同じ?お前と一緒にすんなよ。俺の中で、お前がどれだけ特別かわかんねぇの?」
そしてタケルさんの、私の心を一瞬で見透かすような眼差しが、私を完全に捕らえた。
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