番外編④precious days

23/27
前へ
/27ページ
次へ
「せ、仙堂さんったら、困っちゃいますよね!カケルに変な事教えるから」 「あぁ、二股の事?」 「もう……きっと隼斗君、カケル以上にいろんな事教えられて知ってますよ」 なんて、話の中心を無理やり仙堂さんにしてみたけれど、タケルさんの指先は相変わらず私の髪を弄ったまま。 クルクルと、器用に私の毛先で遊んでいく。 「隼斗は間違いなく仙堂と同じ人生を送るだろうな。それより俺は、お前の発言の方が何倍も気になるんだけど」 「え……」 そう言われて、ここ数年で少しは勘が鋭くなった私は、何となくタケルさんが何の事を言っているのか察する事が出来た。 多分、さっきの事……だよね? 「あれは……ていうか、それを言うならタケルさんだって私と同じじゃないですか」 「同じ?お前と一緒にすんなよ。俺の中で、お前がどれだけ特別かわかんねぇの?」 そしてタケルさんの、私の心を一瞬で見透かすような眼差しが、私を完全に捕らえた。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

520人が本棚に入れています
本棚に追加