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「……お前は、別格」
タケルさんの囁き声が耳に届いたと思ったときには、もう私の唇は目の前の彼に奪われていた。
いつもよりも強引に唇を啄むタケルさんのシャツを、ギュッと掴む。
私の肩を抱くタケルさんの手の力が、私を離さないと言っているような気がするくらい強くて。
大好きな人に触れてもらえて、触れる事が出来るこの現実が幸せ過ぎて、たまにどうしようもない程に泣きたくなるときがある。
「……私の中でも、タケルさんは別格です」
どうしてこんなに好きなんだろう。
どうしてこんなにこの人は、私の心を簡単に持って行ってしまうんだろう。
本当は目が合う度に、好きだって伝えたくなる。
毎日好きだなんて言ったら、飽きられる恐れがあるから言えない。
でも本当は、毎日でも言いたい。
「……好きです」
そして私がやっとの思いでその言葉を振り絞ると。
タケルさんはいつも、余裕な笑みを浮かべながらこう答えるんだ。
『そんなの、とっくに知ってる』
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