番外編④precious days

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「何でもないです。説明したら絶対バカにされそうだからやめておきます」 ていうか、既にタケルさん、鼻で笑ってるし。 そのとき寝室の奥の方から、「ママー……」とカケルが私を呼ぶ声が聞こえてきた。 きっとまだ時間が早いから眠れないのかな? カケルの声で、一気に夢のような甘い空間から現実世界へと引き戻される。 私はカケルがさっきまで読んでいた絵本を手に取り、ソファーから立ち上がった。 「カケル、寝れないみたいなんでちょっと部屋に行ってきますね」 そうタケルさんに言い、寝室へ向かおうとした瞬間。 ソファーに座ったままのタケルさんが、私の腕をギュッと掴んだ。 そして私は、簡単にタケルさんの方へと引き寄せられた。 「タ、タケルさ……」 「たまにはお前の事、独り占めしたいんだけど」 「……っ」 耳元で囁くタケルさんの声で、頭が瞬時にいっぱいになる。 「だから、早く戻って来いよ」 「……はい」 この直後、寝室へ向かった私がカケルに「どうしてママかお赤いの?」と執拗に問い詰められた事は言うまでもない。
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