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何よりも、日々成長していくカケルの姿をタケルさんと一緒に見守っていくのが楽しくて仕方ない。
「先輩!お願いします~!」
「うん、いいよ。どれから手掛ければ……」
多分沙耶ちゃんの仕事を手伝ったとしても、カケルの保育園のお迎えには間に合いそうだし。
……そう、思ったんだけど。
「おい鳴海!」
「はいっ」
システム部の部長はいまだに変わらず藤崎部長のまま。
しかもやっと私の事を旧姓の『伊咲』から鳴海に呼び方を変えるようになった。
やっと本当に、つい最近から。
もう今更な気もするけど……。
「また電話」
「え……」
『また電話』
その部長の嫌な言い方で、どこからの電話かすぐに察知した。
「保育園から。カケル君のお母様、お願いしますだって。ったく……何度目だよ」
「すみません……」
慌てて自分のデスクへ戻り、部長から転送された電話に出ると、保育園の先生の少し疲れたような声が電話の奥から聞こえてきた。
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