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「鳴海さん何度も職場に電話してしまってすみません。実は翔君がまたケンカして頭にケガをしてしまって」
「頭にケガですか!?す、すぐ行きます!」
どういう事情でそうなったのかなんて説明を聞く余裕はなく。
私はすぐに電話を切って、慌てて帰り支度を始めた。
「おい鳴海。お前、今日の自分の仕事終わってから……」
「もう終わってます!部長のパソコンに集計したデータ送ってますから!」
「……あ、そ」
そして速攻で帰り支度をした私は、傍でうなだれている沙耶ちゃんに誠心誠意を込めて謝った。
「ごめんね沙耶ちゃん手伝えなくて!今度時間あるときに手伝うから!」
「先輩ぃー……」
沙耶ちゃんに何度も謝りながら、私は会社を後にした。
会社を出てすぐ近くにあるタクシー乗り場からタクシーに乗り込む。
保育園に着く前に、今夜は接待で帰りが遅いタケルさんに一応メールを入れておいた。
きっと事後報告だと、怒られる気がするから。
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