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「カケル!」
周りの女の子達には全く目もくれず本を読んでいたカケルは、私の声には反応してくれた。
「あ、ママ。はやかったね」
私に気付いて、本を投げ出し駆け寄ってくるカケルはやっぱり可愛い。
「早かったねじゃないでしょ、心配したんだからね。頭のケガ、見せて」
素直に頭を私に見せてくるカケル。
見ると傷はそんなに目立たない感じだったけれど、念のためそのまま病院へ行くことにした。
「びょういん、いかない」
「行かないじゃなくて、行くの」
よっぽど病院に行きたくないのか、さっき投げ出した本を拾ってまた読み出すカケル。
「もう……カケル!言うこと聞いてよ」
座り込んでしまったカケルを無理やり立ち上がらせようとしていたら、教室の奥から1人の男の子が元気よく飛び出してきた。
「あっ!カケルのおばちゃんだー!」
そう言って私に思いっきりしがみついてきた子は、仙堂さんの息子の隼斗君。
仙堂さんの奥さんはギリギリ3月末に隼斗君を出産したから、生まれた年はカケルの方が1年早いけど学年でいえば同級生になる。
カケルと隼斗君のやり取りを見ていると、タケルさんと仙堂さんがそのまま小さくなったような感じがして面白い。
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