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「カケル!ダメなんだぞちゃんとおばちゃんのいうこときかないと」
まだ3歳なのに、保育園に通っているから言葉を覚えるのが早かったのか、カケルも隼斗君もたどたどしい部分はあるけれどよく喋る。
「はやとうるさい。あっちいけ」
隼斗君に冷たい視線を送るカケルは、仙堂さんに時折冷たい視線を送るタケルさんそのものだ。
「カケル。友達にそういう言い方したらダメなんだよ」
と、母親らしく叱ってみるけれど毎回効果はナシ。
結局隼斗君から逃げるようにカケルは立ち上がり、何とか病院へ連れて行く事に成功した。
すぐ近くの病院へ手を繋ぎながら歩いている最中、カケルに今日のケンカの事について聞いてみた。
「ねぇカケル。どうして毎回女の子泣かせちゃうのかな」
「あっちがわるいんだよ。いきなり手つないでくるから」
「そうかもしれないけど、でもその子はカケルと手を繋ぎたかったから……」
「ぼくはつなぎたくないもん」
「……」
確かにカケルの気持ちはわからないでもないけど。
でももう少し、女の子に優しくする事を覚えてほしいと思う。
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