番外編④precious days-2

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カケルもきっと、そういうところは私に似ている気がする。 甘えたいのに、うまく甘えられない。 「カケル、寂しくても寂しいなんて絶対言わない子だと思うんです。……言わないっていうか、言えないっていうか」 だから、なるべく残業は断りながらお迎えに行っているつもりだけど、それでもやっぱり多忙な時期は自分だけ仕事を残して帰るわけにはいかない。 仕事に対して手は抜きたくないし、手を抜いていると周りに思われたくもない。 自分から子育てと仕事の両立を望んだくせに、いまだになかなか要領良く出来ていない自分の不甲斐なさに苛立つときもある。 「心配する事ないんじゃない?」 「え……」 「だって翔のヤツ、お前の事大好きだろ」 「……」 何だかずっと感じていたモヤモヤが、タケルさんのその一言でスッと晴れていったような気がした。 「お前だって、何だかんだ言いながら母親の事大好きじゃん」 そうなんだ。 子供の頃、寂しい思いは何度もしたけれど。 それでも、私は両親の事が凄く好きだった。 今でも、ずっと。
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