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「……大好きです」
子供の頃の事を思い出しながらそう言うと、タケルさんはふっと笑って私の髪をクシャッと撫でた。
「翔も同じだよ。まだまだガキだけど、お前の仕事の事も理解しようとしてるんだよきっとアイツなりに。だから、寂しいって言わないんだよ」
「……」
ダメだ。
ここ、泣くところじゃないのに。
タケルさんにだけはすっかり甘えられるようになった私は、涙を堪える事を忘れてしまうんだ。
「何で泣いてんだよ」
「……わかりません」
涙の理由なんて、自分でもわからない。
ただ、胸に何かがグッと込み上げてきたから。
「それに、翔言ってたし。働いてるママが好きだって」
「えっ……」
「頑張って仕事してるお前が好きなんだってさ。つーかアイツ、どんだけお前の事好きなんだよ」
カケルがそんな事言っていたなんて。
そんな嬉しい言葉、他にないよ。
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