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「あれ?パパママ、どこいくの?」
「「……」」
私とタケルさんが入ろうとしていた寝室は、カケルが今出てきた寝室の隣の部屋。
普段は今カケルが出てきた部屋で、3人で寝ているけれど、甘い夜を過ごすときは強制的にカケルがいない部屋になる。
カケルは、眠そうに目をこすりながら、キョトンと不思議そうな顔で私達を見ていた。
「なんでママ、パパにだっこされてるの?」
そして、的確なツッコミを入れてくる。
私はタケルさんに抱きかかえられたままの体勢で、何とか納得してくれるような説明を試みた。
「えーっと……これにはワケがあって」
「翔、どうした?寝てなかったのか」
あたふたする私とは違って、こんなときでさえタケルさんはいつものタケルさんのまま。
一切動揺する事なく、カケルに話しかけた。
「あのね、なんかね、目さめちゃったんだ」
そしてカケルはパッと小さな両手を私達の方へ上げた。
「パパ、ママ、いっしょにねよ?」
……子供からのこんな可愛い申し出を断れる親なんて、きっとどこにもいない。
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