半分

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そんなある日、森之宮さんが福岡支社に転勤になる事になった。 森ノ宮さんに、結婚して一緒についてきて欲しいと言われたのに、素直に喜べない。 答えを決めかねて1人で喫茶店に入って悩んでいると、前の席にしんちゃんが座っているのに気づいた。 しんちゃん、少し痩せてる。 顔色も悪い。 じっと後ろから見ていると、視線に気づいたのかしんちゃんが振り返った。 「杏奈?」 満面の笑顔で私の名前を呼ぶしんちゃん。 いつの間にか私の目には涙が浮かんでいた。 「元気にしてたか? 今、幸せ?」 矢継ぎ早に質問されても、答える事が出来ない。 しんちゃんの笑顔、優しい声 心に暖かいものが込み上げてくる。 「つらい時はいつでも聞くから」 私、そんなつらそうな顔をしているのだろうか? ツインソウルの森之宮さんに出会って、しんちゃんと別れて彼を選んだ。 森之宮さんといると苦しくなってきたのは、魂の成長を急がされているから? しんちゃんの穏やかさが私を本来の私でいさせてくれる。
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