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私はあらゆる手段を使った。図書館の貸し出し表で、フルネームを知り、あなたをつけて、何年何組かも全て調べたし、出身中学も人伝に聞いて調べた。バレないように、あとをつけて、家も知っている。
こういうのをストーカーというのかもしれない。もっとも知られなければそれには当たらないだろう。
私は、物心ついたころから、自分の性別に違和感を感じていた。そして、好きな人は必ず男の子。
私は確信した。性同一性障害についても、何度もネットで調べた。
一時期は悩み、苦しんだ。しかし、悩んだところで、基本的なところは変わらないのだ。
私は、私。誰にも変える事はできない。それならば、変わる必要はないのだと。
ただ、思いだけをそっと自分の胸の中にしまっておけば、片思いに終わる。誰にも迷惑はかからない。
今は恋を諦めるだけ。大人になれば、もう少し、違う選択が開けるかもしれないから。
その日から、木下先輩から声をかけられるようになり、たまに一緒に帰ったりもした。
私は毎日が夢のようだった。まさか、自分から行動しなくても、木下先輩とこんなに親しくしてもらえると思わなかった。
木下先輩は、時々抜け殻みたいになる。そういうところが、ミステリアスで、ますます好きになった。
木下先輩の隣に居ることができるだけで幸せだった。
そんなある日、木下先輩は、学校帰りに公園に行こうと言い出した。
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