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これって、まるで、公園デートみたいだ。私は一人、フワフワと浮かれていた。
ベンチで先輩の隣に座る。もうそれだけで、先輩側の体が、火がついたみたいに熱かった。
心臓は私の体から飛び出して、一人歩きしそう。
「ねえ、ヒロキ、僕のこと、好きでしょう?」
唐突にそう言って目を見つめられて、私は爆発しそうになった。
それはそうだ。好きが止まらなくて、きっとあふれ出して木下先輩を好きオーラで包んでしまって、バレないはずがない。私は、もうこの夢のような時間は終わるのだと思った。
私が黙っていると、木下先輩はさらに続けた。
「僕と、夢を見ませんか?」
「えっ?」
唐突にそう言われ、私は、何のことか意味がわからなかった。
先輩の髪が風に誘われるように揺れた。
「僕の夢の続きを見て欲しいんだ。」
ますます、何を言っているのかわからない。
「僕の夢に、ヒロキが出てきたんだよ。もう1年も前の話だ。」
1年前なら、私はまだ小学生。先輩と出会っているはずもない。
「僕は、小学生の頃から夢日記をつけてたんだ。最初は荒唐無稽な話が多くて、断片的なものだった。」
私は先ほどまでの自分の気持ちを知られた恥ずかしさを忘れて、深刻な顔で話す先輩を見つめていた。
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