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二
「せーの」
2人同時に部屋に足を踏み入れる。2人のルール。
僕は急いで靴を脱ぎ、リビングに向かい、エアコンのスイッチを入れた。ちょっと不満そうな沙織。
「えーっ。ずるーい。」
「ごめん、ごめん。早く涼しくなりたかったから」
沙織の希望としてはリビングに入るのも一緒がいいらしい。まあルールではないので、僕はあまり気にしていないのだが。
ソファに座って全身の力を抜く。沙織がタオルを持ってきてくれた。
「お、ありがと。」
夫婦ってこんなんなのかな。ふと思った。
「ねえ、アイス食べる?シャワー浴びる?」
「んー。とりあえずだらっとする。」
沙織も汗を吹きながら、僕の隣に座った。
「ねえ、子供が出来るならさ-。双子がいいなー。」
「なんだよ、いきなり。」
「だって2人同じ年齢で、きれいにはんぶんこ出来るじゃない。」
「まあね。」
結局、シャワーを浴びてから、アイスを食べることにした。予告通り、半分食べてから、交換した。
「なあ。何でそんなに半分が好きなんだよ。」
「教えなーい。」
無邪気に笑う。愛しい。
抱き締めたいが、アイスを食べている途中なので、我慢する。沙織がふふっと笑った。
「何だよ。」
「なんでもないよ。」
沙織はたまにこういう所がある。僕の意味の分からないところで笑っていたりする。原因はいつも教えてくれない。
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