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三
夜になり、幾分か気温も下がり、過ごしやすくなった。
夕食後、2人でバラエティ番組を見ていた。
「この芸人さん、面白いよね。」
「あ、私も好き。」
付き合ってから気付いたのだが、比較的僕と沙織の趣味は合う。読書が好きだったり、好きな食べ物が一緒だったり。初めてのデートもお互いが見たいと思っていた映画だった。
ソファの背もたれに寄りかかる。沙織の背中越しにテレビ。テレビから頭の中に意識をシフトチェンジする。
小さい背中。このまま同じ時を過ごし、守っていけたら。
そう思った瞬間だった。
「いいよ。」
意味が分からない。
「何が?」
沙織が無言で唇を寄せてきた。抵抗はしない。
「私もおんなじ気持ちだし、話すね。」
そう言った沙織の表情は、真面目とも笑顔ともとれる表情だった。
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