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「私ね、心が分かっちゃうんだ。」  無言で聞く。 「最初はね、キミのこと、ただかっこいいなーって外見だけで判断してた。」 「うん。」 「だから、趣味が一緒なのも、見たい映画が一緒だったのも、偶然じゃないんだよ。ごめんね。」 「それじゃあ。」 「そう。私が合わせてたの。キミに気に入られるように。でもね……。」 「ん?」 「いつの間にか、好きになってた。いつからなのか分からないけど、キミのこと、好きになってたんだ。」  だからか。意味の分からない微笑みは。僕の気持ちが分かっていたからか。 「でもね、一番のきっかけはたぶんキミだよ。」  テレビの音はもう耳に入らない。 「私が何も意識してないときに、聞こえたんだ。」 「沙織をずっと守りたいって。」 「私、泣きそうになっちゃった。今までそんなこと想ってくれる人、いなかったから。」  沙織の髪を優しく撫でる。僕の肩に体を寄せてくる。
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