わたしが、あの子を愛せないわけ

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その日から、あの子たちの行動はエスカレートしていった。 わたしがキッチンで食事を作っているあいだ。 買い物行ってるあいだ。 入浴しているあいだ。 わたしの姿が見えないところで、いつも二人で話してる。 テレビも勝手にリモコンをあやつって、見るようになった。それも、難しい教育番組ばかり。まるで、利巧なバケモノが、社会の知識を吸収しようとしているかのように。 わたしの心は病んだ。 もしかして、育児ノイローゼだろうか? あの人をこれほど愛してるわたしが、あの人の分身である、あの子たちを愛せないなんて。 そんなこと、あるわけない。 (シオン! どうしてよ。どうして、あなたは来てくれないの? なんで、こんな子をわたしのもとに置いていったの?) レラとレナが二歳になったとき、ガマンしきれなくなったわたしは、衝動的にレナを窓から、ほうりなげた。 レナは死んだ。 ほんとは、レラも殺したかったが、やめた。 レラまで殺したら、シオンは、ほんとに、わたしのところへ戻ってきてくれないかもしれない。 でも、話し声はやんだ。 わたしは、ほっとした。 これなら、ガマンできる……。 だが、それで、終わりじゃなかった。 数日後には、もう、あの声が始まった。 なぜ? もう、レナはいないのに。     
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