わたしが、あの子を愛せないわけ

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そっと、声のするほうに近より、のぞいてみる。 レラだ。 レラが鏡にむかって、しゃべってる。 「ねえ、知ってる? レラ」 「なあに。レナ」 「あのとき、あなたは眠ってたでしょ?」 「レナがいなくなったときのことね。あの少し前に飲まされたミルクが怪しいと思う。だって、急に眠くなったもの」 「あなたに知られたくなかったのね」 「そうね。あなたを殺したのが、誰なのか」 「そんなことしたって、ムダなのにね」 「だよね。だって、わたしたちは、二人で一人」 「体を半分にしたって、心が、つながってる」 うふふ、うふふと、笑い声が続く。 これは、悪夢なの? わたしは、ただ、愛する人の子どもが欲しかっただけなのに……。
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