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「しょーねん、打ち込みまだ終わらないのかい?何時間やってるつもりかな」
「うっさい分かってるよ!!」
あれから、日がな一日地下室にこもって研究に明け暮れる日々が続いた。
なかなかに人使いが荒く、研究となった途端に人が変わるらしい彼女に振り回されっぱなし。
食事も作り置きと出来合いが多くなり、寝る時間もバラバラで乱れまくった生活習慣。
そもそも地下室には時計がなく、一日一回きちんと寝ているかどうかすら怪しい。
あのボサボサの髪とよれた服が妙に納得できて、そして今俺もほとんど同じ状態だった。
今まで、こんなにも夢中になったものがあっただろうか。
寝食も忘れ、持てる時間を惜しみなく費やし、食事や風呂の間ですら頭を占領する。
空っぽだった俺の中に、これでもかというほどぎゅうぎゅうに詰め込まれていくそれで、満たされて。
疲れ果てて寝る瞬間でも、次に起きた時のことを考えていて。
本当に、我ながら笑ってしまう。
彼女が与えてくれた、幸福に寄り添って。
俺はまた新しい『明日』を探した。
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