増殖人間”出井波さん”

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私は暗闇の自分の学校の校舎を走り回っている。なぜ、こうなったのかと言うと……一週間前の朝にすべてが始まった。 「ねぇ、知ってる?増殖人間の”いでなみさん”」 登校時に教室に入ろうとした瞬間、一人の女子学生の声が教室の外に聞こえる。声の主は私の親友の原川結衣(はらかわゆい)である。そしてもう一人の親友がそれに答える。 「何それ?」 「ホラーだよ。ホラー」 「怖いの?あっ、友美。おっはー」 私に挨拶する彼女は宮本理恵(みやもとりえ)。ちなみに私は石川友美(いしかわともみ)である。このクラスの女子はほとんどみんな下の名前で呼び合う。私は彼女たちの近くに寄る。 「おはようさん、二人とも」 「おはよう、ともみん。それで知ってる?”いでなみさん”のこと?」 「誰?それ?」 私はそう答えた。 「二人とも知らないのか。ふっふっふ。結衣ちゃんが教えてあげましょう。漢字あるんだよ」 「なんで幽霊の噂に漢字あるのよ。トイレの花子さんとかならまだしも。”いでなみさん”なんて……」 私がそう言うと周りの二人も笑う。その時だった。 『笑うな!!』 女性の声が突如聞こえた。 「二人、何か言った?」と結衣。 「いや、何も?」と理恵。     
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