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私は激しく頷く。他の生徒達にも聞こえたらしく「おい、何だよ?」と言う男子生徒たちや「何?怖いんですけどー」と言う女子生徒たちなど反応していた。
「井戸の『井』に出口の『出』、海に揺れる波の『波』。それで”井出波さん”。増殖人間というのはそのままの通り。人が増えていくの。どんな方法でもいいから彼女を見たらね」と結衣は説明をした。
「何それ?結衣のただの作り話でしょ?」
理恵は少し怯えてそう言う。
『ホントよ』
また声が聞こえる。他の生徒達にもまた聞こえてきた。
「怖いよ……もう」と理恵は体を震わせている。
なんだかかわいそうだ。さらに言った本人である結衣も声を震わせて言う。
「二人とも……いや、みんなごめん。こんなつもりじゃなかったけど……」
「結衣はただ説明したかっただけだよ。だから大丈夫……」
『あなた……私好き……』
そう声が聞こえた。他の生徒達にも聞こえたようだ。
「友美……」
「ともみん……」
「大丈夫大丈夫。そろそろ先生来るよ」
親友二人にそう言った言葉は間違いなく嘘だった。私だって怯えてた。それでも目の前にいる二人が涙目になっているのに誰が落ち着かせてあげるのだろうと考えれば私しかいないだろう。だから言動に移したのだ。
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