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ロストークの王宮の一角。
宮殿の奥の間に先王の后、レイムが住んでいた。
つまりセレとヤールの母親である。
先王が在位の時には中央の高い塔にいた。上から二番目の階を全て使っていた。
最上階は国王の部屋だ。今はヤールの物となっている。
夫である先王は心臓が弱り、退位してからは別邸で療養している。
レイムも一緒に行こうとも思ったが、即位したばかりのヤールを少しの間、見守る事にした。
実のところは、もう少しヤールと話しがしたいだけだ。
ヤールの国務の僅かな隙を、目ざとく見つけては話しに来る。
今日は、部族の代表を集めての話し合いが王宮の会議室で行われていたが30分前には終わっている。
もう部屋に戻っているだろうが、戻りたてでは流石にヤールの機嫌を損ねる。
「…そろそろね…」
頃合いを見計らってレイムは塔の階段を上った。
王の部屋の前に立つとヤールの方から声がかかった。
「母上ですね。お入り下さい。」
「お疲れ様ね、ヤール。」
レイムは部屋に入った。
「今の所は部族間の揉め事は無いので、それ程でもありません。治水の件は多少面倒ではありますが、何とかします。…で?」
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