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「本当に、私で良いのかしら? ほかほかポテトの擬人化だけど」
「ほかほかポテト……!?」
私は笑顔で頷いた。ほかほかポテトと言えば、上から塩辛やバターを乗せると美味しい存在だ。めくれた皮は、私を包み込むコート同然。
「だから真夏でも雪ん子みたいな恰好を……!?」
「君に言われたくないがね」
彼は私の本当の姿を知ったのち、小さく俯いてしまった。
……そうよね、私達って北風と太陽みたいなものだものね。合わなくて当然だわ。
立ち上がろうとすると、その手をグッと引かれ、私は彼の胸の中へ。
「僕達、似た者同士だね!」
「どこが?」
「見た目が!!」
「いや、全然似てないよ。ほら、この通り」
「現物の話だよ。半分か半分じゃないかの違いでしょ?」
いや、全然違うよ。
「とにかく、似た者同士なんだよ僕ら!!」
無垢な笑顔で言う、キウイの半分。
……そうか。彼は、私を傷つけまいと、わざと似てると言ってるんだ。見た目はおろか、野菜と果物と言う違いもあるのに。彼の方が、私よりよっぽど大人だった。
そんな大人に、私が返す言葉は一つしかない。
「うん、似た者同士だね」
私はそう言って、彼を抱きしめ返した。
(了)
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