第1章

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今でこそ、ぽっちゃり型向けにも商業展開している洋服業界だが…太りぎみの人間は着れる服が少ない。 だから、おしゃれとかには無縁で雑な人間もわりと多い…私もそんな生き方をしてきた。 だから、欲しいものはないし探す気にもならない。 彼氏が見つかったら痩せるとか言うが、私は彼氏よりチーズケーキの方が好きだ。 ホール半分でも、一気に食べられる。 そんな私は、どこで買ってきたのか紳士物のTシャツを着ながら横になっていた。 紳士物の方がゆったりしているから、ふくよかな女性でも着られる…デザインにさえ気をつけていれば。 買い替えも少ないから、もう生地自体が傷んでいる。 しかし、深夜の通販番組を見ながらチーズケーキのホールにかぶりつくのは至福である。 つーか、服買うぐらいならケーキ食った方がいい。 人間、服が無くても生きられるが食い物がなければ1週間保たないから。 「つまり、このエクササイズは腹筋のみを集中的に鍛え…。」 ダイエット器具の紹介をしていた。 基本的に、通販ってダイエット器具と洗剤とかがほとんどなんだよね…買う気もないけど。 しかも、やたら効果があるって見せるし。 実際そうかもしんないけど…合わない人には合わないし。 「これ見たら寝よう。」 ホールのチーズケーキはあっさりとなくなった。 眠気が来たので、さっさと寝ることにした。 次の日、長年着ていたTシャツがお釈迦になった。 着ているうちに穴が開いて広がったらしい。 もともとケーキ代を捻出するため、安物でしのいでいた。 生地の強度も弱いため、長くは着られない。 また服を買いに行かねばならぬ憂鬱が襲う。 動くの嫌だな。
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