ROOM.1 ジャワ・ハイツ203号室(3)

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 千曲は愉快そうに小首をかしげる。上亮は明日の天気でも答えるような口ぶりで、自分の台詞を再現した。 「肋骨折る気で行けよ。何もしなけりゃどうせ死ぬんだぜ。って、それで押してるつもりかよ。お前ちゃんとつくものついて…」 「そこまで言わなくていい!!」  流山の怒号が飛んだ。今度こそ酸欠を起こした。   「全く、現場というのはどうなってるんですか!?」    流山はヒステリックに叫んだ。長く広報や法務、企画部に所属していた副署長からすれば、上亮の態度は全く理解できない。千曲の顔が「いつものことでしょう?」と諭していても食いさがるどころか、上亮の日頃の様子にまで話を広げだす。 「今のこの瞬間の勤務態度だってそうですよ。いったい何度私があなたに腰巻き禁止と言ったと思ってるんです!?」 「現場じゃ一目で俺だって分かるんでありがたいって言われてんスけど」 「我々は常に市民の目を意識しながら仕事をしなくてはならないんですよ!!この前も第一隊と小競り合いを起こしましたね!?」 「点数稼ぎに躍起な第一隊の皆さんが茶々入れてくるのが悪いんスよ。ハイパーレスキューのベース隊になるとか言ってますけどあんな口だけの連中上にあげたらロクなことになりませんって」     
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