ROOM.1 ジャワ・ハイツ203号室(3)

4/8
前へ
/105ページ
次へ
「勤務態度を見ればあなたは彼らの足元にも及びません!!最近はインターネットが発達してるんです!どんな姿もスマートフォンで取られてすっぱ抜かれると思っていなさい!!」 「インターネットにスマートフォンって…なんかおっさんの物言いっスね」 「やかましい!メールもロクにひらけないパソコン音痴はあなたの方でしょう!!?」  上亮は自分よりはるかに高位の職位についている相手でもお構いなしだ。説教をひらりひらりとかわし、時折反撃のジャブを入れる。慣れていないと、うまく叱ることができない。 「あなたのためを思って連れてきたというのに。跳ねっ返りにも程があるでしょう」 「フン」  上亮の顔には反省の色が全くない。憎たらしい顔には、自分の所属に対する誇りが滲んでいる。 「全く、あなたっていう人は…」  流山が更に言葉を重ねようとして、黙る。  横の千曲が大きく鼻息をついたのだ。机の上の書類が浮くほどだった。 「そうよね。なえちゃんはそういう子だもんね」  上亮の全身に鳥肌が立つ。ふた回りも歳の離れた男、それも上司にあだ名で呼ばれても嬉しくない。  対する千曲のニコニコとした顔には黒い影がかかっていた。先ほどまで見せていた同調路線はどこにもない。 「やっぱりもうちょっと痛い目みないと分からないかしらね?」     
/105ページ

最初のコメントを投稿しよう!

222人が本棚に入れています
本棚に追加