ROOM.1 ジャワ・ハイツ203号室(2)

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  ROOM.1 ジャワ・ハイツ203号室(2)

「いいですか、皆さん。心肺蘇生法のステップは大きく四つに分けることができます。救助対象者の反応確認、通報、胸骨圧迫、気道確保。ここは学校じゃないのでテストはしませんが、是非覚えてください」  桜之下学園2年B組クラス委員長の安西弘は、死にそうな顔で夕暮消防署の救命講習を受けていた。 「早く…、早く終われ…」  うわごとのように祈りを繰り返す。  そっと前を盗み見た。同じ班には凶暴というか言葉を体現したような連中ばかりが揃っている。茶髪、金髪、クリスマスが近いからか、赤に染めた馬鹿すらいた。 「ギャハハ、嘘だろ、ケツに入れてんの!?」  他の生徒が真面目に…正確には真面目を装って寝ながら講義を聞いているというのに、弘たちのいる班だけはどこまでも開き直っている。欲望に対してひたすら忠実に、人命救助の大事な話を無視している。  講師役に現れたのは、ここの副署長だという。体を使う仕事をしている割には痩せていて、神経質そうな男だ。とはいえ、弘の学校がある東京都夕暮市の消防分野において二番目に偉い人であることには変わりない。 「ケツに突っ込むとかマジふざけてんな!!」     
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