誰にも言えない事件簿【空き巣編】

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「じゃ、状況的には、ざっとこんな感じかな? 君は普段音楽に興味がない。そのため、あまり音楽を聞かない。そして、アップル社の音楽再生プレーヤーは、君の実のお父さんが、ビンゴ大会かなにかで当選したものを貰った、と」 「は!? いやいや、ぜんっぜん違うじゃないですか!!僕は音楽を人並みに聴きますし、会社の同僚から貰ったんですよ!!!しかもビンゴ大会か何かって!!」 「まぁ、そのあたりはあんまり大事じゃないから構わないでしょ。大体会社の同僚の供述まで取ると、まためんどくさいことになるよ? じゃ、これで。査定1万円の被害、と」 「はぁ・・・」 「じゃ、次はこの時計ね、これはどこで買ったの?」 「祖父から貰ったものです」 「あ、この時計ガラスが割れてんなぁ。めんどくさいなこりゃ。よし、こうしよう、君はマラソンをしていて、うっかり転んだらガラスが割れた。壊れた時計だから普段は使っていない。机の上に放置をしていた、と」 「いやいや、だから、おかしいじゃないですか!!!僕にマラソンの趣味はないですよ!!ガラスがいつ割れたかもはっきりはしませんし、机の上にはまず置きません」 「あのねぇ、君はホントに困ったもんだな。どこに置いたかも分からず、いつ壊れたかも分からないようなものを盗られた、じゃ、曖昧すぎて、被害があったかどうかも分からないんだよ。こっちの身にもなってくれよ」
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