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ぷふぁっ、苦しい息を吐き出すと、そのまま続いて笑いが出てくる。
笑い転げてる私に、居酒屋中の視線が集中しているが、……え? みんな、おかしくないの?
結局、やる気をなくしてしまったのか、彼女は牧口さんに送られて帰って行った。
それから、彼女と牧口さんがどうなったのかなんて知らないし、関心もない。
きっと、牧口さんはそんな人間だったから、長続きしたんだと思う。
関係はその後も、牧口さんが転勤になるまで続いた。
「俺がいなくなったらおまえ、どうすんの?」
「いままで通り、ですけど?」
最後の日、唐突にそんなことを聞かれて、牧口さんは私がどうしてこんなことをしているのか、わかってる気がした。
――私の心は、どこか欠けている。
欠けているからか、いつも満たされない。
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