第二章

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「なあ千里、お前どうしてそんなに良之の事になるとイライラするんだ?昔はあんなに仲良かったのに」 俺は無謀とも言えるラージャンに殺されPSPをテーブルの上に置き千里に体を向けた。 「あの糞虫変態野郎は……生理的に無理…」 良之よ…お前は一体千里に何をしたんだ?流石に糞虫変態野郎は言い過ぎだと思うが確かにあいつは糞虫変態野郎かもしれない。 でもこいつらは本当は昔仲が良かったんだ。 千里は小学生の時体が弱くて外で遊ぶなんて事したらすぐに熱が出て倒れる程体が弱かった。だからクラスではかなり浮いてた。 そのたびにクラスの男子に苛められて俺が助けていたんだが、野球をやり始めてから千里を助けられなくなった。 良之も俺が野球をやり始めてから野球をするようになった。 でも良之の場合は違った。良之は感が強いのか練習中に抜け出してすぐに千里を助けに行っていた。まるで千里が助けを求めてることを察知したかのように…… 確か俺達が中学に入学してからも良之は千里の送り迎えをしてたな。 中学の時は千里も良之に心を開いて良之だけに感情を露わにしていた。俺なんかより仲が良くてまるで兄妹のようだった。 でもそれは良之が高校に入学してからガラリと態度が一変した。千里は良之に対する態度が変わったんだ。 まああいつが千里に何か変な事をしたのなら自業自得だ。 「そうか…あいつも悪い奴じゃないから、少しは構ってやれよ」 「気が向いたらね…」 そう言って千里は無表情のままリビングを出て行った。
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