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山本翔太は、今日も窓際の席に1人で座っていた。
高校に入学して1ヶ月が経とうというのに、友達と呼べる人はいなかった。
思い返せば、小学生の頃から、友達と呼べる人はいかなかったかもしれない。
なんとなく話をしたり、休み時間に遊んだり、そんな人はいたが、クラスが変われば関係は終わっていた。
そして現在、クラスにさえ、休み時間に話をするような友達はいない。
翔太は、本命のまぁまぁ賢い高校の受験に落ちていた。
受験前日の夜、高熱が出て、入試は受けたのだが、落ちてしまったのだ。
そして滑り止めで受験していた学校が今の高校なのだ。
あまり賢い学校ではない。
周りにはチャラチャラした男女ばかりだ。
俺とは住む世界が違うのだと、翔太から話しかけることはないし、もちろん、向こうから話しかけられることもない。
決していじめられているわけではない。
1人が寂しくないと言えば嘘にはなるが、1人は1人で、気楽で好きだ。
だから、この後、あんなことが起こるなんて、微塵も予想していなかった。
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