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その頃、AはすでにBの率いる不良グループの一員として振る舞っていた。
チャイムが鳴ってからでも走れば間に合う! と言われていたくらい、中学の近所に位置していた私の家。
その至近距離にあるAの家は、当然、Bたちの溜まり場と化する。
「最近、目つきの悪い子たちが入り浸っていて、嫌だわ。
夜中まで騒いでたり、バイクの音がうるさくて。
あの家のせいで、このあたりの治安まで悪くなっちゃう」
母はそうぼやいて、眉間にしわを寄せていた。
まるで、私のせいだ、と言わんばかりに。
いや、だから私、関係ないよね? AがBたちを呼んでるのなら、完全にAのせいだろう。
心の中で、言いかえす私。
反抗期なくせに……というか反抗期だからこそ、いちいち反抗するのさえ億劫になる。
「あの家の人たちも、最近あんまり外に出てこなくなって。
顔をあわせたら苦情を言ってやろうかって、この前、町内会長さんとも話してたんだけど」
「…………」
昔あんなに仲良さそうにしてたのに。
子どもが荒れたから、Aの家のおばさんとは、もう縁きったのかな?
近所の目ざわり〝迷惑者〟あつかいしだしたよ、急に。
何なの? この母親。 薄情だな。 もう話しかけてこないでほしい。
何かにつけて母に反感を抱く、思春期の私。
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