ホテルの地下は眠らない

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現在ショッピング施設が並ぶ出口とは逆側、南改札口を西に出ると 今でも古いビルが並ぶ、いわゆる飲み屋街がある。 細く薄暗い路地の両側には、いかがわしい看板を掲げる店も連なっている。 大通り沿いに歩けば、チェーン店の居酒屋や明るいコンビニがあるのだが 私は、ピンク色のネオンサインの店の前に立っているおじさんたちに 挨拶をしながら、近道であるその路地を通る。 路地を抜けると、左にビジネスホテル。 建物に入って進み、顔なじみの長身白髪のフロントマンに挨拶をして フロント前の階段を降りる。 前置きが長くなったが、階段を降りた地下にあるお店が 私のバイト先、PUB『P』。 パブといっても、形態はキャバクラに近い店だ。 キャバクラと聞いて思い浮かべるような煌びやかさは無いが それは、ビジネスホテルの地下にあったからかもしれない。 よく言えば落ち着いた雰囲気で、薄暗く古臭いフロア。 実際〝女の子がいる飲み屋〟としてはこのあたりでは古参店で 地元の常連客や、ホテル宿泊客の一見さんで、毎晩そこそこ賑わっていた。 私にとって深夜バイトも水商売も、ここが初めてだった。 友人と2人でバイトを探していたとき、駅前で声を掛けられ 体験入店からそのまま本入店した。
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