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ひいっ.....
近づいた男に驚き声を出そうとするが喉からでたのは空気を飲み込む音だった。
『話さなくても良い。心で話せばわしはわかる。
イン スヒョン 日本名 秀賢(ひでたか)のほうがいいか?
一応はじめまして......か?
わしはお前のことをよく知っているが、お前さんはわしとは初めてじゃろ。』
男は僕のことを知っていると、話してきた。
僕はこんな男は初めて見た。それも刀を持った日本の時代劇からでてきたような変な格好の男。
知っているはずがない。
僕の名前?どうして?
『知っているぞ。お前が生まれた時のこともな。
2006年 12月19日。寒い冬の朝じゃったな。
前日からチラチラと雪が降って道には雪が積もっていたなぁ。
血液型B型 体重2300kg。
前置胎盤で予定日より一ヶ月早く生まれたじゃろ?
小さい頃は喘息で病院で度々入院。
それから......
父は韓国人 、母は日本人。林(イン)家の本家の長男。上に年子の姉一人がいるが、林家に男はお前しかいない。大事な跡取りだ。
爺さん婆さんにも溺愛されている。
現在中学に入学たばかりの悩み多き少年。
合ってるじゃろ?』
見た目は20代の青年なのに、年寄りみたいな風変わりの話し方だった。
僕のことをよく知っているこの人は誰なんだと不思議に思いながら、誰かを呼ぼうとするが声がでなかった。
心臓が全力疾走をした後のように、ドキドキしていた。
背筋に氷の塊が当てられたかのようにぞくぞくした。
そして男の前で固まっている僕に男は不思議な言葉を口にした。
『泥棒じゃないし、そんなに怯えんでいい。
わしはこの家の守り神なんじゃから。』
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