13.No Regret

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アレクセイさんが素早く振り返り、 私と茶色を見て激しく動揺した。 「こ、ここは男子トイレだぞ! なんで女がいるんだよ!!」 和道くんは和道くんで、 テンパっているのだろう。 こめかみに血管を浮かべ、 ひたすら私に出て行けと繰り返す。 だからゆっくりこう言った。 「久しぶりだね和道くん、リナです。 覚えてますか?正月に会ったでしょ? ねえ、妹のレミを見なかったかな?」 「見てない」 はやっ。 即答過ぎて逆に怪しいし。 ジーーーーーッとその目を見つめる。 いわゆるガン見攻撃だ。 「本当に?それよりどうして東京へ? 平日だよ、学校に行かなきゃダメでしょ」 「オンラインスクールにしたんで、 どこでも授業を受けられるし、 時間も融通きくんだよッ」 い、今どきだな。 そんなことに感心していると、 ダンボール箱が微かに動く。 ゴスッゴスッゴスッゴスッ。 中から不自然な音も聞こえてきて、 私たちがひたすら凝視していると 彼らはそれを無視して去ろうとする。 「レミ!中にいるなら2回蹴って」 ゴスッゴスッ。 ニッコリと微笑む茶色と私。 …さあ、レミを返して貰いましょうか。
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