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キュルリーッ、キュルリーッ。
その日は朝から謎の鳥が鳴いていた。
東京で暮らし始めてから
驚いたことが幾つかある。
それは見たこともない
マイナーな種類の鳥が
突然、ビルの屋上にいたりすることだ。
地方と違って緑が少ないので、
隠れることが出来ないのだろう。
大きな声で鳴く鳥だな。
…そんなことをボンヤリ思った。
「ちょっとお姉ちゃん?
卵は半熟で焼いてとお願いしたでしょ」
「リナちゃん、コーヒーお代わり頂戴」
えっと、なんだか私、
家政婦状態になってるんですけど。
「なにコレ!
国産小麦のパンじゃなきゃダメって
言わなかったかしら、私」
「リナちゃん、俺、朝は白米を食べたい」
いつもなら島さんが
朝食づくりを手伝ってくれるのに。
そして誰も文句を言わないのに。
「ヨーグルトは生乳100%にしてよ。
味が全然違うんだから」
「リナちゃん、俺、ハムエッグでお願い」
ハム、無いな~。
ベランダに行って取って来よう。
って、もちろん
そんなとこに有るワケないし。
レミ1人なら耐えられる。
茶色1人でも耐えられる。
でも、2人同時だとウンザリ。
この状態が3日も続いているワケで。
ベランダから前方のビルを見ると、
その屋上にペリカンサイズの鳥がいた。
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