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そりゃもう、
バッサバッサと翼を広げている。
さすが東京、
ペットが逃げ出したのだろうか?
それとも本当に野鳥なのだろうか?
そんなことを呑気に思っていると、
鳥が何かと闘い出す。
驚いて何度も目をこすったが、
やはり鳥は何かと闘っていて、
どうやらそれは成人男性らしい。
その人物はガタイが良いワリに
俊敏な動きで鳥の首を掴み、
今にも折りそうな勢いだ。
しばらくポカーンと眺めていた私だが、
気付くと叫んでいた。
「そんな珍しい鳥、
殺しちゃダメでしょ!!」
私の声が届いたのか、
その男はいきなり姿を消す。
どうやらこちらから見えないように
身を低くして隠れたようである。
私の声で、
レミと茶色もベランダに出て来た。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「ほら、珍しい鳥がいるの。
それを殺そうとする人がいて、
注意をしたら急に姿を消したのよ」
そんなワケで3人揃って
向かいのビルの屋上を凝視する。
>ぐおおおッ!!
雄叫びが聞こえたのは、
たぶんそのペリカンっぽい鳥が
クチバシで先程の男性を攻撃したからで。
「だ、大丈夫かな??」
…そんな心配は無用だったらしく。
それ以降ずっとこの男は、
私たちを監視するようになったのである。
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