13.No Regret

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なぜソレが分かったのかと言うと、 例の鳥がいつの間にかあの男に懐き、 彼がいると鳥も来るようになったからで。 バッサバッサと何処からか飛んできて ビルの屋上に舞い降りたかと思うと、 まるで目印の如く存在感をアピールし、 いつもの男も一緒ですよ! …と分かり易く教えてくれるのだ。 だから私たちは気づかないフリをして、 鳥を見かけるたび低い位置へと身を隠す。 そして双眼鏡で敵の様子を伺いながら、 仲良く3人で雑談するのである。 「ねえ、お姉ちゃん。 あの鳥ってハシビロコウに似てない?」 「ハシビロビロコウ?(※惜しい) ちょっと待って、スマホで検索するわ。 …ふうん。確かに似てるわねえ」 「おいおい、ここんトコよく読めよ。 絶滅危惧種がこんな街なかに いるワケないだろ?」 リビングで腹這いになり、 レミを真ん中に挟んで雑談していると、 徐々に茶色とレミの距離が縮まっていく。 「なー、レミちゃん。 試しに俺とも付き合ってみなよ。 カオルよりも俺の方がモテるんだぞォ」 「ええっ、遠慮します」 この閉鎖された環境で、 茶色の娯楽はレミしか無いワケで。 ていうか、 向かいのビルの屋上にいるアナタ、 いったい何がしたいの? アナタのせいで私たちは コソコソ隠れて生活しているんですが。 ていうかていうか、カーテン買おうよ。 それで隠せば万事解決じゃない? ねえ、茶色ってば。
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