第二次みちのく会戦

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 第一次みちのく会戦から二日後、南部軍の猛攻が始まった。津軽軍北部国境守備隊は縄文人とマタギ混成部隊を展開したが、沢村が加わった南部軍は圧倒的だった。青天の霹靂弾が届かない距離からの南部せんべい射撃。マタギ部隊のど真ん中を切り裂いていく。敵陣が乱れたところで、南部せんべいを撃ちながら騎馬隊が突撃。馬脚で敵を蹴散らす。散々に敵陣をかき乱しておいて、例のまさかり隊が大打撃を与える。追い打ちをかけるのが、沢村が騎馬隊と共に連れて来たウミネコ飛行隊であった。散り散りに逃げる敵兵に、上空から爆撃機の如くフンを投下する。  こうしてわずか三時間の戦闘で、南部軍はみちのく有料道路の確保に成功した。  勝利に湧く南部軍。しかし石川と沢村の表情は厳しかった。  未だに姿を見せない津軽軍正規兵――。  占領した国境砦に駐屯して三日後、上野率いる青森市方面軍本隊が到着した。石川、沢村共に上野の指揮下に戻る。  本隊が携行した追加のタッコーラで部隊を即時回復させたものの、鳥であるウミネコはそうはいかない。  本業が猟であるマタギ。布陣をあれだけ破られておいてなお、ウミネコに対しては的確に攻撃していたのだ。戦闘不能に陥った十二羽のウミネコを、ウミネコの繁殖地である八戸市の蕪嶋(かぶしま)神社に帰投させる。  そして、上野は最低限のまさかり兵とウミネコを五浦に与えて国境砦守備の任を与え、残り約五百ものまさかり兵をはじめとし、騎馬隊、そしてウミネコ飛行隊を率いて出陣した。これが青森市街へと殺到することとなる。
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